BG(TITLE) TA昼の太陽・夜の月 | |
SCENE1 | |
cut1 | |
BG(夏の海)SE(波)(カモメ)(有線放送) | |
稔 | おい、とうとう来たな。 |
健太 | あぁ、とうとう来たぞ。 |
稔 | 海だぜ、海。 |
健太 | 見ろ!青い海、碧い空。焼ける白砂、何処までも続く水平線。 |
稔 | うんうん。 |
健太 | そして、 |
健太&稔 | 水着の女の子達!! |
稔 | いやぁ、来たかいがありましたね、健太さん。 |
健太 | そうですね、稔さん。 |
稔 | バイト代つぎ込んでよかった。 |
健太 | 一週間この楽園にいられるんだからな。 |
稔 | いけね、涙がでてきちやった。 |
健太 | 馬鹿だなあ、泣く奴があるか。 |
稔 | じゃ、そろそろいくとしますか。 |
健太 | よおぅし! |
cut2 | |
BG(ナンパ野郎共) | |
稔 | こんにちわー |
健太 | なにしてるのー |
高飛車女 | ふん、この私に声かけようなんて100万年早いわよ。 |
稔 | こ、こいつ・・・ |
健太 | こうゆう奴は環境に悪い、埋めてしまおう。 |
高飛車女 | きゃー、なにすんのよ! |
稔 | 環境保護。 |
SE(埋める) (P) | |
健太 | こんにちわー |
稔 | なにしてるのー |
無愛想女 | ふぅ。 |
健太 | こ、こいつ・・・ |
稔 | 挨拶はきちんとしなさいと習っただろ!埋めてしまえ! |
無愛想女 | きゃー、なにすんのよー! |
健太 | 挨拶運動。 |
SE(埋める) (P) | |
稔 | こんにちわー |
健太 | なにしてるのー |
コギャル | えー、何これー、ひよっとしてナンパー?なんかー、この人達アウトオブ眼中ってカンジー。ってゆうかーチョベリバー。 |
稔 | こ、こいつ・・・ |
健太 | てめえらっ、正しい日本語使え!埋めてしまえー! |
コギャル | きゃー、なにすんのよー! |
稔 | 日本語教育。 |
SE(埋める) (P) | |
(セリフFOさせつつ次へ) BG(おいでませ海が好き) | |
バイト女 | ねぇ、なんか外が異様に騒がしくない? |
陽子 | ほら、馬鹿な男共が変なことやってんだよ。何考えてんだか。 |
バイト女 | あっ、人を埋めてる。 |
客 | すみませーん。 |
陽子 | あっ、はーい。 |
SCENE2 | |
cut1 | |
稔 | はぁ、なんか疲れた。 |
健太 | かなり埋めたからな。浜茶屋でなにか飲むか。 |
稔 | そうしようか。 |
cut2 | |
BG(おいでませ海が好き) | |
陽子 | げっ、いらっしゃいませ。 |
健太 | えっと、何にしようかな。 |
稔 | そうだなぁ。 |
健太 | あの、 |
陽子 | はい? |
健太&稔 | 君の心を。 |
陽子 | はっ? |
健太 | 冗談だから気にしないで。コーラください。 |
稔 | ぼ、僕は本気です! |
健太 | しかし、同じ事考えてたな。 |
稔 | 似た者同士だからな。 |
陽子 | ふぅ、浜辺で女の人を埋めていたのってあんた達でしょう。ナンパして振られたからって何してんだよ。情けない男。あんたがたみたいのが来ると下品になっちゃって嫌になるよ、まったく。 |
健太 | う、うるさいなぁ。コーラだよコーラ!早く持ってきてよ。 |
稔 | 氷いちご。 |
陽子 | 残念ながら、うちにはコーラも氷いちごもおいていませーん。 |
バイト女 | お待たせしました。コーラと氷いちごでーす。 |
他の客 | あっ、どーも。 |
健太 | あるじゃねーかよ!きったねーぞてめぇ! |
稔 | そーだよ、こんなんありかよ! |
陽子 | あんたがたに出すものはおいてないって・こ・と。 |
健太 | こいつぅ、かわいい顔してなんて性格悪いんだ。 |
稔 | かわいくなんかないよ、しかも口も悪いときてる。 |
健太 | もうどうしようもない奴だな。 |
稔 | ほんと、可哀想になってくるよ。 |
陽子 | 本人の目の前でなんてこと言うのあんた達は・・・ |
健太 | 僕達正直者だもんね。 |
稔 | 嘘はつけないよ。 |
陽子 | あんたたちー!!いいかげんにしなさいよ!! |
SCENE3 | |
cut1 | |
SE(波)(砂利道歩く) | |
健太 | はぁ、今日は散々だったな。 |
稔 | 収穫ゼロだった。 |
健太 | それはいいとして、あいつだよあいつ。 |
稔 | あの浜茶屋の女、なにも殴ってくることないだろ。 |
健太 | 女らしさのかけらもなく育ったんだろな。 |
稔 | もう今日は民宿でゆっくりするか。 |
健太 | えっと、ここだろ泊まる民宿って。 |
SE(引き戸開ける) | |
稔 | すみませーん。今日からお世話になるものですが。 |
SE(小走り) | |
陽子 | はーい。いらっしゃ・・・あーーーっ! |
健太&稔 | あーーーっ!どうしておまえがここに! |
陽子 | どうしてあんたたちがうちにくるんだ! |
健太 | 知るかそんなこと! |
稔 | 知ってたら来んわ! |
陽子 | 今日は休み、帰って帰って。 |
女将 | これっ、陽子。お客様になんてこと言うの。すみません、どうぞおあがりください。 |
陽子 | だって・・・ |
健太 | 失礼だぞ陽子。 |
稔 | そうだぞ陽子。 |
陽子 | 勝手に名前で呼ぶな! |
女将 | あら、お知り合いなの? |
健・稔・陽 | まっさかぁ。 |
SCENE4 | |
cut1 | |
BG(夜の海)SE(波) | |
健太 | ったく、稔の奴さっさと寝やがって。しかし、つまんねえじゃねえか。んーっ、でもまあ夜の海の散歩ってのもいいもんだな。 (P) あれ、あそこにいるの陽子じゃねえか。おーい、ようこー! |
壬月 | ・・・えっ?・・・ |
健太 | 陽子なにぼーっと海見てんだよ。 |
壬月 | ・・・ようこ?・・・ |
健太 | わかったよ。呼び捨てにするなって言うんだろ?なにしてんの。 |
壬月 | ・・・海・・見てるの・・・ |
健太 | 海なんて四六時中見てるだろうに、よっぽど好きなんだな。 |
壬月 | ・・・あなた・・だれ?・・・ |
健太 | まだ怒ってんの?ちゃんとした自己紹介まだだったっけ。結城健太、青山大学に通う二十でーす。趣味はお茶にお花、あとお料理なんかも特意かな。将来の夢は素敵なお嫁さんになることでーす。 |
壬月 | ・・・わたし・・かえる・・・ |
健太 | あっ、冗談だって!今度はちゃんとするから!・・・・あれっ?もう居ないや、まずいな相当怒ってるかも。どうしよう・・・ |
cut2 | |
SE(瓶ケース積む) | |
陽子 | ふぅー、重いな。 |
健太 | ようこー!! |
BG(ゆるしてちょんまげ) | |
陽子 | わっ!な、なんなんだよ! |
健太 | さ、さっきはごめんなさい!ほら、あの、ちょっとふざけてみただけで、これからは心入れ替えるから。ほ、本当においしかったし、ほら、あの、なんてゆーか、ねっ、あっ、おれ結城健太・青山大学に通う二十で、趣味はえっとえっとー・・そのー・・ |
陽子 | わかった、わかったからおちつけ。なっ? |
健太 | 許してくれる? |
陽子 | あぁ、許す許す。 |
健太 | 本当? |
陽子 | あぁ。 |
健太 | 本当の本当? |
陽子 | しつこい! |
健太 | ありがとう、じゃおやすみ。 |
SE(戸閉める) | |
陽子 | なんなんだいきなり・・・ |
SCENE5 | |
cut1 | |
BG(おいでませ海が好き) | |
稔 | ふぇー、つかまらないもんだなぁ。よーこ、氷いちご追加ー。 |
健太 | ガラの悪い男がふえてきたよな。よーこ、こっちにもー。 |
陽子 | ガラが悪いのはあんたたちでしょ、(P)はい、氷いちごふたつ。 |
SE(氷いちご置く) | |
ガラ悪男1 | おい、ここで食ってこーぜ。 |
バイト女 | いらっしゃいませ。 |
ガラ悪男2 | おっ、かわいい子いるじゃん。ねぇ、一緒に遊ぼうぜ。 |
バイト女 | あの、仕事中なので・・・ |
ガラ悪男1 | 仕事なんていいからさ、なっ?俺達とさ・・・ |
バイト女 | いやっ、触らないで。 |
ガラ悪男2 | そんな冷たいこと言わずにさ・・・ |
健太 | 稔・・・やっちまうか。 |
稔 | あぁ、俺のそろばん5級の怖さを教えてやろう。 |
健太 | せーの・・・ |
SE(いすをひく) | |
陽子 | あんたたち! |
健太&稔 | ようこ? |
ガラ悪男1 | んっ?なに、おまえも相手してくれるのか? |
陽子 | してやろうじゃない。 |
BG(燃える闘魂) SE(ゴング)(殴る) | |
ガラ悪男1 | あべしっ! |
健太 | おぉ、今のはいいパンチですね稔さん。 |
稔 | えぇ、腰のはいったいいパンチです。なかなかやりますね。 |
SE(蹴り) | |
ガラ悪男2 | ひでぶぅ! |
健太 | すごい!中段から上段へ変化する蹴りです。 |
稔 | あれは素人にはできません。彼女は本物です!って黙って見てないで俺達も加わるぞ! |
SE(ゴング) | |
cut2 | |
ガラ悪男1 | くそっ、おぼえてろ! |
SE(走り去る) | |
健太 | あーあ、かわいそうに目にあざつくって。 |
陽子 | それやったの健太。 |
健太 | あれっ、そうだっけ? |
稔 | あーあ、かわいそうに唇切ってる。 |
陽子 | それやったの稔。 |
稔 | あれっ、そうだっけ? |
陽子 | あーあ、かわいそうに鼻折ってるよ。 |
健太&稔 | それやったの陽子。 |
陽子 | あれっ、そうだっけ? |
健・稔・陽 | わっはっはっはっはっ・・・・・・ |
SCENE6 | |
cut1 | |
SE(ふすま) | |
健太 | あぁ、うまい晩めしだった。 |
稔 | 健太、これから暇なんだろう? |
健太 | まぁ、そうだけど。何するの? |
稔 | 一緒にTV見ようぜ。 |
健太 | はぁ?なぜこんな所に来てまでTV見なきゃなんないんだよ。 |
稔 | 今日はすごいぞ。ゼロヨンしんちゃんのスペシャル番組なんだぞ。 |
健太 | いや、いい。俺は海でも見てくる。 |
稔 | 冷たすぎるぞ。一緒に見ようぜ。 |
健太 | 馬鹿、放せって。ひとりでみてろ! |
SE(ふすま) | |
稔 | なんだよあいつ・・・あっ、ゼロヨンしんちゃんが始まってしまう! |
cut2 | |
SE(波) | |
健太 | しかし・・・なぜ稔はあんな変な番組見たがるんだよ。花火するとか他にすることがいろいろあるだろ。おかげで暇じゃないか!海でもぼーっとみてるか。もしかしたら陽子がいるかもしれないし。 |
壬月 | きゃーーー!! |
健太 | えっ、今のは陽子? |
ガラ悪男1 | へっ、昼間の威勢のよさはどこいったんだよ。 |
壬月 | や、やめてください。 |
ガラ悪男2 | お返しはたっぷりさせてもらうからな。 |
壬月 | いや、さわらないで! |
健太 | てめぇら、なにしてやがる! |
壬月 | あっ、助けて! |
ガラ悪男1 | てめぇは昼間の・・・あの時はやられたけど、今度は2対1だ。 |
ガラ悪男2 | 覚悟しやがれ! |
cut3 | |
BG(夜の海) | |
ガラ悪男1 | ご、ごめんなさい。 |
ガラ悪男2 | やめてぇ、砂が砂がぁ。 |
壬月 | あの・・・なにしてるんですか? |
健太 | んっ?こういうのはちゃんと埋めておかないと。環境に悪いから。 |
壬月 | そうなんですか・・・あっ、助けていただいてありがとうございます。 |
健太 | なにそんなにあらたまってんだよ。陽子らしくない。それにこんな奴等陽子にとっちゃなんともないだろう。 |
壬月 | ・・・ようこ・・・ |
健太 | んっ、なんかいった? |
壬月 | い、いいえなにも。あの、少し座ってお話しません? |
健太 | うん、いいよ。 |
cut4 | |
BG(壬月) | |
壬月 | ・・結城健太さんでしたよね、この前教えてくれました。 |
健太 | ごめんね、ふざけちゃってさ。 |
壬月 | そんなこと気にしてません。私こそいきなり帰っちゃって、健太さんに悪いことを・・・ |
健太 | 陽子、おまえ変だぞ。 |
壬月 | えっ!? |
健太 | 言葉ずかい丁寧だし、なんか妙に女の子らしいし・・・ |
壬月 | ・・そんなに変ですか? |
健太 | いやっ、俺は今の感じのほうが好きだけど。 |
壬月 | ・・どうもありがとう。 |
健太 | そんな、お礼なんて。 |
壬月 | ・・・でも、全く逆ですよね。・・元は同じなのに・・・ |
健太 | 本当、昼間と今じゃあ全く雰囲気違うよね。 |
壬月 | ・・昼間と今?・・ |
健太 | そうじゃないの? |
壬月 | あっ、そうですね。 |
健太 | どうしてさぁ、こんなに違うの?今日なんかさっきの奴等ぶっ飛ばしてたのに。 |
壬月 | ・・・えっ・・あのっ・・それは・・・ |
健太 | それは? |
壬月 | ・・それは・ほら、昼はお客様を相手にするから明るく振る舞わなきゃ。今みたいに暗かったらだめなのよ。私はあんなに明るくない・・ |
健太 | 明るく振る舞って奴等ぶっ飛ばしたの? |
壬月 | ・・・・・・・・・・・・・いじわる・・ |
健太 | ふふっ。 |
(P) | |
健太 | どうして海見てるの? |
壬月 | この時間、この場所にいるときが自分を見つめられるの。真っ暗なところから外の世界を知る唯一の場所。今までずっと一人だった。 |
健太 | 陽子・・・ |
壬月 | でも、今は健太さんがいてくれるかな。 |
(P) | |
健太 | ねぇ、そろそろ戻らない? |
壬月 | えっ・・・・・・わたし・・もう少しここにいる・・・・・・・ |
健太 | うん、わかった。じゃ、おやすみ。 |
壬月 | ・・・・・おやすみなさい・・・・・ |
(P) | |
ガラ悪男1 | おーい、俺達のことわすれないでくれー! |
ガラ悪男2 | はあぁ、潮が、潮が満ちてきたぁ! |
健太MONO | (なんだかんだで、俺は毎晩浜辺を散歩した。するといつも陽子がいた 昼間とはまるで雰囲気の違う陽子が。話しをしていて、俺は夜の陽子に 惹かれていった。ナンパはうまくいかないので、夜に陽子に会うため浜 辺へ行くのがなによりも楽しみになった。昼の間せめて俺の前では素顔 の自分でいて欲しかったけど、あいからわずいつもの陽子だった。ひょ っとして二重人格なんじゃないのかってかんがえたりもした・・・・・) |
SCENE7 | |
cut1 | |
健太 | さーてと、晩めしもたべたし、浜辺にでも行こうかな。 |
稔 | そうか?じゃ、今日は俺も行くよ。 |
健太 | いや、ひとりで行きたいんだ。稔はTVでも見てろよ。 |
稔 | 健太いつも浜辺いくだろ、そんなにいいのかなって思ってさ。 |
健太 | ぜーんぜんよくない。もう最悪。 |
稔 | じゃあ、どうして行くんだよ。 |
健太 | そ、それは・・・ |
稔 | もしかして、女の子とでも会っているんじゃないだろうな。 |
健太 | そ、そんなこと、あ、あるわけないじゃないか。ば、ばかだなあ、わらっちゃうよ。は、は、ははは。 |
稔 | 決めた、絶っ対に行く。 |
健太 | (いっかーーん!) |
SE(みぞおち一発) | |
稔 | ぐっ! |
SE(倒れる) | |
健太 | ふぅーー、稔すまん、許してくれ。 |
cut2 | |
BG(夜の海)SE(波) | |
健太 | まさか稔が浜辺へ行くといいだすとはな、陽子に会っていたのがばれてしまうところだった。今日はなにを話そうかな。なんか最近いい雰囲気なんだよな。 |
BG(壬月) | |
健太 | 陽子! |
壬月 | ・・・・・・・・・・ |
健太 | 陽子、どうして黙ってんだよ。 |
壬月 | だって・・・・ |
健太 | なに怒ってるの? |
壬月 | いっつもナンパばっかりして・・・・・ |
健太 | えっ、あっ、浜茶屋から離れた所でしてたんだけど、みてたの? |
壬月 | みてたわ・・・・ |
健太 | 遠くからよく見つけられるね? |
壬月 | ・・・そ、そうよ、み、見えるわよ。健太さんのこといつも目で追っているんだから。 |
健太 | 追ってるの? |
壬月 | 健太さんが他の女の子と楽しそうに話すのをみて、自分でも不思議なくらい胸が苦しかったわ。 |
健太 | ようこ・・・・・・ |
壬月 | ・・きっと、嫌だったんだと思う。わたしだって目の前で健太さんがそんなことしてたら嫌だもん・・・ |
健太 | そ、そうなの? |
壬月 | ・・・うん・・嫉妬しちゃう・・・ |
健太 | しっと!? |
壬月 | ・・・うん・・だから・・もうしないでね。 |
健太 | ・・しない。絶対にしない。 |
壬月 | ・・・恥ずかしい・・・ |
健太 | なんか、照れるなぁ。 |
壬月 | ・・・健太さん・・じつは私は・・・ |
健太 | なに? |
壬月 | ・・ううん・・なんでもないの。 |
SCENE8 | |
cut1 | |
BG(おいでませ海が好き) | |
稔 | おい、女の子に声かけないのか? |
健太 | ああ、そういうのはやめた。 |
稔 | おまえ、今日が最後なんだぞ!いいのかよ。やっぱりそうなんだな、そうなんだろ。裏切り者! |
健太 | うるさいなあ。 |
陽子 | やっとあきらめたか。ま、明日からおまえ達がいなくなるとなると平和になるよ。 |
稔 | 陽子がいる限り平和は有り得ないと思うけど。 |
陽子 | なに? |
稔 | ほら、そういうとこ。 |
健太 | まぁ、そう怒るな。素直になれよ陽子。 |
陽子 | なにニヤニヤしてるんだよ。 |
健太 | 無理する必要なんかないよ。 |
陽子 | なにが言いたいんだこの馬鹿! |
SE(叩く) | |
SCENE9 | |
cut1 | |
稔 | 健太、今晩も浜辺に行くんだろ。絶対に俺も行くぞ。 |
健太 | はははっ、なに言ってんだよ! |
SE(みぞおち空振り) | |
稔 | ふっ、あまいなあますぎるおしるこ頭め、すでに見切ったぜ。 |
健太 | ちいっ、まっ、今日はふたりでのもうぜ。 |
SE(缶開ける) | |
かんぱーい! | |
稔 | あぁ、かんぱーい。 |
SE(飲む) | |
cut2 | |
稔 | ぐー、ぐー。 |
健太 | あますぎるのは稔だよ、おしるこ頭め。稔が酒に弱くてよかったぜ。 さーてと。 |
SE(ふすま) (P) | |
稔 | よっこらせっと。すべて御見通しよ、おしるこ頭なのは健太のほうさ。くっくっくくくく。あいつにばかりいいおもいさせてたまるか。 |
cut3 | |
BG(夜の海)SE(波) | |
健太 | 稔は寝たし、今日はゆっくりと話していられるぞ。でも・・今晩が最後になるのか。これからも会えたりできたらいいんだけどなぁ。 |
(P) | |
健太 | あっ、いたいた。陽子のやつ昼間はてれやがって。おーい、陽子! |
壬月 | あっ、・・・健太さん・・・ |
SE(砂浜走る) | |
稔 | 健太の裏切り者め。裏切りるとどうなるか思い知らせてやる。ぬおおっ! |
(P) | |
cut4 | |
BG(壬月) | |
健太 | 明日でお別れなんて寂しいね。 |
壬月 | えっ!お別れ!? |
健太 | いや、陽子の言う二度と会わないって意味じゃないよ。 |
壬月 | ・・・ひょっとして、明日帰るんですか?・・・ |
健太 | 一週間の予定だったし、俺もいろいろあるからさ。 |
壬月 | ・・・そんな・・・ |
健太 | また会いに来るよ、絶対に。 |
壬月 | ・・・うん・・・・・健太さん・・・次に会う時までには元気になっているから・・・ |
健太 | 今より元気だったらすごすぎるなぁ。 |
壬月 | ・・・その時には本当のこと話すから・・・ |
健太 | 本当のこと? |
SE(鎖の音) | |
壬月 | ・・・これ、うけとってください・・・ |
健太 | ペンダント? |
壬月 | 開くと音がするんです。 |
BG(ペンダント) | |
・・・これ私だと思って・・・ | |
健太 | 大切にするよ、陽子。 |
SE(抱きしめる) | |
壬月 | ・・あっ・・・健太さんって暖かい・・・ |
稔 | おーい、たけるー! |
健太 | うわああああああああああああぁっ!!!!! |
SE(なぜおまえが!) | |
稔 | なに慌ててんだよ。 |
健太 | べ、べつにぃ。あ、慌ててなんかないよ。それよりもどうして稔が起きてるんだよ。 |
稔 | それよりおまえはここで何してるんだ!待ち合わせか? |
健太 | (あ、陽子いないぞ、おかしいなぁ今の今まで居たのに。あれぇ?) み、見てのとおりさ。 |
稔 | 絶対に待ち合わせだろう!俺も一緒に待つからな!。 |
健太 | だから違うって! |
稔 | うるさい! |
SCENE10 | |
cut1 | |
SE(雀) | |
稔 | うっ、寝不足だ。眠い。 |
健太 | 俺もだ、ふつう、朝まで待つかよ。違うって言っただろう。 |
稔 | じゃあ、どうして毎晩出かけたんだよ。 |
健太 | い、いやぁ、海が綺麗で。 |
稔 | どもってるぞ。 |
健太 | しつこいな。 |
女将 | あら、お帰りですか。 |
稔 | 長い間お世話になりました。 |
女将 | どういたしまして、有り難うございました。 |
陽子 | もし次来るんだったらナンパみたいな馬鹿はやめろよ。 |
稔 | へいへい。健太、なんか言っとかないのか? |
健太 | あ、あぁ。(陽子になんて言えばいいんだろう。) |
BG(ペンダント) | |
陽子 | あ、この曲。健太、そのペンダント! |
健太 | これ、大切にするから。 |
女将 | まちがいないわ。 |
陽子 | どうしたんだよそれ! |
健太 | どうしたって、陽子がくれたんじゃないか。きのう浜辺で。 |
稔 | おまえ陽子とあってたのか。そうか・・陽子ならべつにいいや。 |
陽子 | ひょっとしてさ、正反対の性格? |
健太 | 陽子ってそうなんだろ? |
陽子 | ちょっと私についてこい! |
健太 | おい、どこいくんだよ。 |
SCENE11 | |
cut1 | |
SE(医療機器) | |
健太MONO | 俺が連れていかれたのは、ある病院の一室だった。ベットには陽子が眠っていた。いや、陽子の顔をした双子のもうひとりの陽子が。 |
陽子 | 壬月。 |
健太MONO | 陽子はそうぽつりとつぶやいた。 |
陽子 | 一年前に交通事故にあって、それからずっと意識不明なんだ。健太の会った私って壬月の心なんだよきっと。健太の持っているペンダントは壬月のなの。 |
健太 | 壬月・・・ |
回想 | (・・・真っ暗なところから外の世界を知ることのできる唯一の場所、
ずっと一人だった・・・) (・・・でも今は健太さんがいてくれるかな・・・) (・・・次に会う時までには元気になっているから・・・) (・・・その時には本当のこと話すから・・・) |
BG(ペンダント) | |
健太 | じゃ、俺があっていたのはこの人なのか?俺が好きになったのは壬月さん? |
SE(医療機器緊急音) | |
陽子 | 私、先生呼んでくる! |
SE(ドア)(走る) | |
健太 | うそだろ?元気になるっていったじゃないか!そんな、せっかく会えたのに! |
(緊急音響く) | |
SCENE12 | |
cut1 | |
SE(バス) | |
陽子 | じゃ、元気でな。 |
稔 | あぁ。 |
陽子 | またこいよ。 |
健太 | うん。 |
SE(バス出発) | |
陽子 | 絶対こいよー、元気でなー! |
cut2 | |
SE(バス車内) BG(いつかきっと) | |
稔 | なぁ、健太。 |
健太 | んっ? |
稔 | また来ような。 |
健太 | あぁ、絶対来るさ。絶対。 |
SE(バス遠ざかる) | |
SCENE13 | |
cut1 | |
BG(オルゴール) SE(電話呼び出し) | |
健太 | もしもし、結城ですが壬月さんいらっしゃいますか? (P) あっ、壬月さんだったの?ひ、ひさしぶり。あ、あのね・・・ (P) な、なにわらってるの?あぁ、陽子だろ!なにが(わたし、みずきですぅ。)だよ。もぅ、わらうなって。早くかわってよ。 (P) わかったからぁ。陽子早くかわれって!あっ、壬月さん? (P) いや違うの、陽子がね・・・陽子後ろで笑ってるでしょう。もぅ、あいつは・・・そ、そうじゃなくて・・でも、あれから半年たつんだね。で、今度なんだけどさ・・・・・・ |
EABG(クリスマス・イブ)(SCENE14あたままで) | |
SCENE14 | |
cut1 | |
SE(レストラン) | |
壬月 | こうやって会えるなんて夢のようです。 |
健太 | 夢じゃないさ、これからはいつでも会えるよ。 |
壬月 | は、はい。そうですよね。 |
健太 | 退院おめでとう。・・そしてメリークリスマス。 |
壬月 | メリークリスマス。 |
SE(グラス) | |
END | |